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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

企業がとるべきSNSアカウントの炎上対策とは?炎上時の対応方法も解説

風評被害対策

炎上

現代のインターネット社会において、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は企業の事業成長に向けて利用される重要なツールです。顧客へのアピールやコミュニケーションで、ブランド力や知名度を高められる強力なツールです。

しかし、SNSで炎上してしまうと顧客からの信頼を失う危険性があります。全く悪気のない投稿が誤解されてしまい、企業のイメージが傷つくリスクをはらんでいます。そのため、企業にとってはSNSの炎上対策が不可欠といえるでしょう。

この記事では、企業がSNSの炎上にどのように対処すべきか、そして炎上したときの効果的な対応方法について解説します。

SNSの企業アカウント炎上とは

SNSの企業アカウント炎上とは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSで企業が発信した内容について批判や非難が起こり、誹謗中傷や風評被害がどんどん拡大し続ける状況のことです。

投稿に不適切な内容が含まれていることが原因であるほか、悪意が全くない場合でも誤解による炎上も珍しくありません。また、SNSの投稿ではなく企業の不祥事がきっかけでSNSの企業アカウントが炎上する場合もあります。炎上が大きくなると、ネットニュースに取り上げられて顧客以外の人にまで知られてしまう状況にもなります。

企業アカウント炎上での騒動や誹謗中傷によって、風評被害がSNS上のみならず企業活動に悪影響を与えることも多いです。SNS炎上の被害は、デジタル空間にだけにとどまらずリアルの世界にも大きな影響を及ぼすリスクがあるのです。

SNSにおける炎上が進むパターンについて

悩む男性

SNSでの企業アカウントで炎上が発生しても、炎上がすぐに収まるケースと炎上が進んでしまうケースとがあります。SNSで炎上が進んでしまう原因はいくつもありますが、それぞれの原因について詳しく解説します。

運用担当者の炎上リスクへの理解不足

SNSの運用担当者が企業アカウントの炎上リスクを十分に理解していないと、炎上が起こりやすくなります。たとえば、顧客がどう受け止めるかを深く考えずに軽率な投稿をしたり、炎上しやすいセンシティブなテーマの投稿をしたりすることが炎上の原因となります。

また、プライベートでのSNSで過激な発言をしたところ勤務先の企業が特定されて炎上したケースもあります。SNSの運用担当者は、プライベートでのSNS投稿にも注意が必要です。

投稿内容の事前チェック不足

投稿までの過程で投稿内容をチェックできる体制が整っていれば問題のある内容を投稿することを防ぐことができ、炎上するリスクを回避しやすくなります。

事前にチェックする体制が整っていなかったり、チェックする従業員の炎上に対する知識や理解が不足したりしていると、チェック機能が働かずSNSに炎上原因の投稿がされてしまいます。

炎上の発見から対応までに時間がかかっている

SNSでの炎上は投稿されてすぐに起きるわけではなく、投稿から炎上までの時間にラグがあります。そのため、炎上していることに気づくまでに時間がかかってしまい、炎上が拡大するのを放置する結果になってしまうことがあります。

炎上初期に誤った対応をしてしまう

炎上に早めに気づけたとしても、誤った初期対応をしてしまうことで逆に批判が出てしまい、火に油を注いで二次炎上を招いてしまうリスクもあります。

問題のある投稿をなんの説明もなく削除したり、言い訳やごまかしばかりで説明責任を果たさないなどの誠意の感じられない対応は、さらなる不信感を招いてより炎上させてしまうことがあります。

炎上が起きてしまった際は、なぜ批判や炎上が起きているのか、どういった対応が適切か、などを考えて本質を把握することが重要です。焦って炎上を消そうとするのではなく、さらなる炎上の拡大を発生させないように対応することも重要なのです。

SNSの企業アカウントで発生した3つの炎上事例

炎上加害者

ここで、実際に過去に起きたSNSの企業アカウント炎上の事例を3つ紹介します。

どれも決して珍しい事例ではなく、どの企業でも起こりうるものです。

広告の内容が物議を醸し批判が殺到

2017年に、とある石鹸メーカーがYouTubeチャンネルで公開したWebムービーが炎上した事例を紹介します。

Webムービーの動画内容は、父親が息子の誕生日で早く帰宅すると約束していたのに、仕事でミスをした後輩と飲んで遅く帰宅し、妻が「なんで飲んで帰ってくるかな」と呆れ顔をする中で「風呂入ってくる」と言って夫は風呂場へ行きます。

入浴シーンでそのメーカーの商品の石鹸がアップで映った後、男は気持ちを切り替えるかのように顔を洗い、入浴後は妻と息子に謝罪して息子の誕生日を祝います。そして、画面に「さ、洗い流そ」とキャッチコピーが表示されます。

息子との約束を破って「さ、洗い流そ」の一言で終わらせる展開に、動画を見た人たちから多くの批判が殺到しました。さらに、過去の広告ポスターで、オフィスの一角に笑顔で立つ女性の横に赤字で「今日も若手社員を泣かせてしまって。自責の念でいっぱいです」と書かれ、ポスター下部には「さ、洗い流そ」と同じキャッチコピーが書かれていたことにも「いじめやパワハラを容認しているように見える」と批判の目が向けられました。

参考:J-CASTニュース|「牛乳石鹸」広告が炎上、「もう買わない」の声 「意味不明」「ただただ不快」批判殺到

個人アカウントと企業アカウントを間違えて投稿

マスコミ業界の社員が、政党を批判するツイートを個人用のアカウントで投稿するつもりが、誤って企業アカウントで投稿してしまいました。その社員は、問題の投稿をすぐに削除するも、その投稿のスクリーンショットが拡散されてしまいました。投稿した社員は懲戒解雇となり、企業は謝罪するとともに管理者の減俸や減給処分を発表しています。

参考:ITmedia ビジネスオンライン|四国放送、公式Twitterの「中の人」懲戒解雇 公明党批判のツイート“誤爆”、個人アカウントと取り違え

バイトテロがX(旧Twitter)で拡散

アルバイト店員が炎上を起こしてしまうケースもあり、「バイトテロ」と呼ばれています。

飲食店のアルバイト店員が、店内でふざけて商品である食品を粗末に扱う不適切な動画をX(旧Twitter)で拡散させ、不衛生なイメージを世間に持たせてしまうなどのものです。

アップされた動画を見た多くの人が批判とともに動画を拡散することで炎上がどんどん進みました。さらに、その動画の内容や企業名が全国ニュースで取り上げられるケースもあります。企業側は、インターネット上で批判されるだけではなく、店内のチェックや消毒・清掃作業などに追われて営業中止に追い込まれて大損害を被りました。

参考:J-CASTニュース|今度はココイチで「バイトテロ」、不衛生行為をSNSで限定公開→予期せず拡散 店は一時営業停止に…運営会社「厳正な対応を行う」

SNSの企業アカウントで可能な5つの炎上対策

SNS

SNSの企業アカウントが炎上すると、多数の批判や誹謗中傷が起こって風評被害を受けてしまい、莫大な損害を被るリスクがあります。炎上は予期せず起こってしまう可能性もありますが、極力起こさないように対策することがとても重要です。

SNS運用のルールを策定しておく

炎上には必ず原因があり、炎上しやすい内容やテーマがあります。個人情報や誹謗中傷を含む内容を投稿しないなど、SNSの運用においてのルールを策定しておきましょう。ルールを明文化しておくことで、炎上リスクの低減につながります。

また、SNSが炎上しそうなときの緊急対応フローをマニュアルにまとめておくと、炎上に素早く対応できて沈静化を早めることができます。あらかじめ策定されたルールに従って早期に適切に対応することによって、炎上をおさえられたり、炎上しても最小限の被害で食い止められる可能性があります。炎上しないための対策だけでなく、炎上した後の対応も定めておくことが重要です。

従業員に向けたSNSポリシーを策定する

企業の従業員が炎上につながる不適切行動を起こさないように、SNSポリシーを策定しておくことも重要です。企業に属している立場としての従業員のSNSとの関わり方を具体的に定義しておくことも、炎上を防止する対策の1つです。

SNSの炎上に関する研修の実施

ルールやポリシーを策定しておくだけでなく、社内研修によって従業員1人1人の炎上に対するリテラシーを高めることも重要です。炎上の怖さを知っておき、1人1人が当事者意識を持つことで、炎上リスクを減らすことができます。

また、正社員のみならずパート・アルバイトにも研修を実施することでバイトテロの防止にもなります。

価値観の多様化を理解し、時勢にあった情報発信を行う

時勢・タイミングによって、同じ内容でも各個人の受け取り方や感じ方が大きく異なってきます。冗談やユーモアのつもりであったとしても、ハラスメントや差別ととらえられかねないような内容は避けましょう。

例えば、「女性社員が結婚できるか心配している」という内容を発信した場合、現代の時代ではセクハラや差別と捉えられることが多く、炎上の原因となってしまうのです。また、大きな災害が発生した直後などには、平時では問題のなかった内容であっても「不謹慎だ」などと批判される場合もあります。

価値観は多様化しており、年代や性別によっても異なります。異なる立場の人にチェックをしてもらうのもよいでしょう。

SNSの企業アカウントで炎上してしまった場合の2つの対応策

会社で悩む男性

炎上対策していても、炎上リスクはゼロではありません。そのため、炎上してしまったあとの対応策を用意しておくことも事前対策と同じく重要です。炎上してしまった場合の対応策を2つ紹介します。

事実確認と批判対象となっている投稿の反応を見る

炎上の内容の事実確認と原因となった投稿を確認しましょう。なぜ炎上したのか、なぜ批判を多数受けることになったのか、その理由や背景を把握し、対応策を練りましょう。きちんと把握・確認ができていないのに、ただ投稿を削除したり説明したりしても、本質的な対応をしていないことに多数の批判が出て二次炎上につながってしまいます。

企業の評判回復に尽力する

SNSに炎上が起こって情報が拡散してしまうと、炎上した情報がデジタルタトゥーとして残ってしまいます。少しでも早く企業の回復に専念・尽力して評判の回復に努め、対策を考えていくことが非常に重要です。

例えば、自社のWebサイトやSNSなどに速やかに謝罪文や声明文などを掲載し、事実説明や再発防止策を丁寧に説明するなどの対応が有効です。企業イメージの悪化を少しでも少なくすることが、のちの企業活動に大きく影響します。

まとめ:SNSでの炎上対策は弁護士に相談を

SNS

炎上はインターネット社会の現代において誰にでも起こり得ることであり、企業として情報発信を行う場合には、事前の炎上対策や対応策は不可欠です。特に、情報の拡散が早いネットでの炎上は、素早い対応が、鎮静化までの時間や被害損失の規模を大きく左右します。

炎上対策は必要ですが、想定外の部分が炎上の原因となったり、いざ起こった時に慌ててしまったりなど、対策・対応が難しいのも事実です。第三者の意見やトラブル対応の専門家のアドバイスとして、不安があれば法律の専門である弁護士に相談してください。事前の対策はもちろん、炎上が起きてしまった際の対応までしっかりと応えてもらえます。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面で豊富な経験を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報を看過すると深刻な被害をもたらします。当事務所では風評被害や炎上対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

モノリス法律事務所の取扱分野:上場企業等の風評被害対策

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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