SNS運用代行業務委託契約書のチェックポイントとは
InstagramやTwitterなど、SNSの世界的な拡大を受けて、企業もSNSアカウントを持つのが当たり前になりつつあります。その狙いは商品やサービスなど自社のプロダクトを世界に向けて宣伝する点にあります。
また、企業のSNS参入に伴って、SNSの運用を委託する企業が増えています。
では、SNS運用代行業者に運用を委託するにあたり、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。SNS運用代行業務委託契約書について解説していきましょう。
この記事の目次
SNSの運用代行とは
多くの人がスマホで情報収集しているため、InstagramやTwitterなどのSNSで商品やサービスを宣伝すれば、効率よく集客につなげて売上を上げることができます。
ただ、SNSの運用に慣れていなかったり、狙った顧客に届かなければ、SNSアカウントを開設しても売上につながらないこともあります。
そこで、SNS運用代行サービスを利用することができます。SNS運用代行とは、企業のSNSアカウントの運用を代わりに行うサービスです。
SNSの集客が上手くいっていない場合や社内でSNS運用のノウハウがない場合など、SNS運用代行サービスに委託すれば大きな広告・宣伝効果を上げることができるかもしれません。SNS代行業者には主に以下の業務を委託することが可能です。
- SNSへの定期的な投稿
- コメントやDMなどへの返信
- ターゲット層の分析などSNSでのマーケティング戦略の立案・コンサルティング
SNS運用代行サービスは、Web制作会社などの会社へ委託することができます。また、フリーランスでサービスを提供している人もいます。
SNS運用代行業務委託契約書の内容
SNS運用代行サービスを利用する際には、委託先とSNS運用代行業務委託契約書を締結する必要があります。
SNS運用代行業務委託契約書の基本的な項目
SNS運用代行業務委託契約書によく記載される項目は以下のものです。特に、委託業務内容や委託料、期間については、必ず記載しましょう。
- 委託業務内容(月〇回〇記事更新など具体的に記載)
- 委託料(基本料金+成果に応じて追加料金など具体的に記載)
- 契約期間
- 再委託
- 個人情報の取り扱い
- 秘密保持
- 権利の帰属
- 第三者からの請求
- 解除
- 反社会的勢力の排除
- 損害賠償
- 契約内容の変更
- 契約の協議
- 譲渡禁止
- 完全合意
- 不可抗力
- 管轄裁判所など
特に注意するべきポイント
SNS運用代行業務委託契約書を締結する際、気をつけたほうがよいポイントは以下の通りです。
再委託の可否
再委託について定めておかないと、勝手に第三者に委託されてしまい、思っていたような効果が得られなかったり、情報漏洩のリスクが生じますので、明確に定めておきましょう。
- 再委託をする際には、委託元の事前書面同意が必要である旨
- 再委託先の行う業務については、委託先が全ての責任を負う旨
などの項目を盛り込んでおくとよいでしょう。
権利の帰属
SNSに載せた記事や画像などの成果物や、運用代行業務の過程で生じた発明等に関する知的財産権等の帰属についても、きちんと定めておく必要があります。「協議の上定める」とするのか「委託者に帰属する」とするのか、委託先と交渉したうえで明記しておきましょう。
損害賠償
契約違反などにより、相手方に損害を与えた場合の損害賠償金の上限額については、「委託料〇ヶ月分」や「委託料と同額」などと設定する場合が多いです。
特に委託元が支払う損害賠償金については、上限額は設定しておいたほうが安心です。
第三者からの請求
SNSに載せた記事や画像が、第三者の権利を侵害しているものとして請求を受けた場合、委託者と委託先のどちらが責任を負うのかについても定めておく必要があります。
たとえば、委託先が、引用元を明記せずに著作権フリーでないイラストをSNSにあげてしまって、そのイラストの権利者から何らかの請求を受けた場合などに「委託先が対応する」旨を定めておけば、委託者は責任を免れることができます。
写真投稿における著作物性と著作者については、以下の記事をご参照ください。
TwitterやInstagramにおける著作権の侵害については、以下で詳しく解説しています。
個人情報の取り扱い
SNSの運用代行にあたって、委託者の保有する個人情報の取り扱いについても委託する場合は、個人情報がみだりに開示されることがないよう取り決めておきましょう。
個人情報がいったん流出してしまうと、大変な責任問題となりますので、契約書に明記しておく必要があります。
また、個人情報の機密保持義務は、契約期間中だけでなく、契約期間終了後も続く旨もあわせて記載しておきましょう。
個人情報保護法と個人情報については、以下の記事をご参照ください。
まとめ
SNSによる集客がうまくいっていない場合や社内でSNS運用をするのが負担になっている場合などは、SNSの運用代行を委託することができます。
本記事で見てきたように、SNS運用業務委託契約書の締結にあたっては、気を付けるべきポイントがいくつかあります。不安な場合は、インターネット関連の法律に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
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